【特別企画展「壱岐の自然展U」関連企画】いきはくサイエンス「いきのいきもの[花]」 (2024.02.17更新) |
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2月17日(土)、特別企画展「壱岐の自然展U」関連企画として、いきはくサイエンス「いきのいきもの《花》」を開催しました。 講師は、大阪市立自然史博物館の長谷川匡弘学芸員です。長谷川先生は、花の形の進化や、花にどのような昆虫や動物が 集まるのか、その関係性などが研究分野です。 今回の野外活動では、博物館周辺の野山へ出かけて、冬にみられる花木などの植物をしっかりと観察してまわりました。 長谷川先生の豊かな解説に、参加者からは「また先生の観察会に参加したい!」の声多数でした。
先生による解説の一部をご紹介します(文責:一支国博物館)。 ■アセビは「馬酔木」と書きます。ほんのひと枝を大人が食べただけで倒れてしまうような毒があるので「馬が酔う木」という 漢字がつけられています。 ■植物は、花粉を運んでほしいから花を咲かせています。 ■花の観察時間。10〜20分は一般の人。5〜10時間は誰も真似できないですが、私は奈良公園で10時間、観察をしたことがあります。 これぞ研究の第一歩です。 ■ツワブキ。壱岐のどこにでもあります。茎、花、年中食べられます。 ■アキタブキ。傘の大きさほどに広く大きく育つ植物です。 ■タブの木。アキタブキと同じく、くすのき科の照葉樹です。芽が大きいのが特徴のひとつで、芽生えの頃にはますます大きく、 そして赤くなります。 ■ハマビワ。くすのき科。ビワの葉に似ています。海岸植物が野山でも見られるという壱岐島の植生です。 ■シロダモ。芽生えの4月頃、金色に光る産毛がとてもきれいです。 ■スダジイ。ひととおりのどんぐりを食べましたが、 一番おいしいのでは? ■こしょうの木。2〜3月頃に咲く。いい香りがします。近畿地方から九州に分布。中国の沈丁花(じんちょうげ)と同じ仲間なので、 同じ香りがします。 ■ノビル。ねぎのにおいがして、とてもおいしい植物です。食べるとピリピリします。酢味噌和えなどがおすすめ。 ■タンキリマメ。昔は、痰を切るのどの薬に使っていたと言われます。黒い豆がパカッと開いて見えます。鳥が食べて運んで くれますが、鳥には消化能力がないので丸呑みし、そのまま別の場所でフンをして育っていきます。 ■コスミレ。壱岐にはスミレが3種あります。白色はタチツボスミレ。淡い紫色で花大きめはコスミレ。濃い紫色はスミレ。 ■やぶ椿。椿は花自体がボタっと落ちる。サザンカは花びらがハラハラと離れて落ちます。メジロやヒヨドリが蜜をなめるために 椿の花へやってきて、頭から突っ込んで花粉をつけて運んでいきます。メジロは花びらに留まるから花びらには傷が入っていて、 これは美味しい花粉があるという、植物の本望でもあると言えます。 ■道路樹には海岸植物を使うことが多いです。これは、潮風や強風にも耐えうる強いためです。 ■ニホンスイセン。日本原産ではない。ヨーロッパが原産地です。6枚の花びらに見えるが、外側3枚はガクの部分。内側3枚が花びら です。タネができない、根っこで増えていくので誰かが植えなければ繁殖しません。 ■植物は、育つ地域や人との関わり方で全然違う姿があります。大昔から、植物は歴史や文化、民族との関わりが強く、 植物抜きでは語れない生活を送ってきました。個々の生きる力を高めるために、植物の名前や特徴をおぼえておくことも おすすめします。
ほかにも、本日観察した植物一覧です。 キズタ、イヌビワ、ノゲシ、ハマダイコン、ホトケノザ、セイタカアワダチソウ、スイバ、クサイチゴ、センニンソウ、 イタビカズラ、オオイタビ、シロバナタンポポ、カクレミノ、マテバシイ、ヒサカキ、カラズザンショウ、ハチク、ヤツデ、 トベラ、マサキ、ハマヒサカキ、ノイバラ、シマカンギク、フウトウカズラ、ヒメイタビ、ギシギシ、ヨモギ、アオジクショウ、 ツルグミ、ナワシログミ、オオバヤドリギ、トウダイグサ、クルドイゲ、オカメザサ など
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